同じエルメスなのに、ヴィンテージは少し違う顔をしている。
色、革、金具。
今はもう作られていないものが、そこに残っている。
COLOR
もう手に入らない色がある
エルメスは毎シーズン、カラーを入れ替える。
だから、当時あった色が今はもうない、ということが起きる。

1994年のケリー32、ルージュヴィフ。
青みのない、まっすぐな赤。
今のカラーチャートを探しても、この赤は出てこない。
1994年製 ケリー32 ルージュヴィフ/1995年製 ミニケリー ルージュヴィフ

ブルージーンも、今は見かけない色。
名前のとおり、洗いざらしのデニムみたいな青。
1998年製 トリム31 ブルージーン/2007年製 エヴリンTPM ブルージーン

アネモネは、赤みを含んだ、鮮やかで深いパープル。
青みの強い紫とは異なり、赤紫に近い色合い。
光の当たり方によって、明るい紫から濃い紫へと表情が変わる。
2014年製 ミニプリュム20 アネモネ/2021年製 エヴリンⅢPM アネモネ

パルシュマン、キュイーブル、ブルーインディゴ。
廃番の色には、その年代の空気が閉じ込められている。
2002年製 プリュム28 パルシュマン/2016年製 バーキン30 キュイーブル/1994年製 ケリー28 ブルーインディゴ
LEATHER
名前ごと、消えたレザー
色より分かりやすいのが、革。


クシュベルは、細かい型押しの入ったレザー。
軽くて発色がよく、1990年代のバッグによく使われた。のちにエプソンへ。
1995年製 ケリー28 ゴールド/2001年製 バーキン40 ゴールド


アルデンヌは、シボが大きくて硬さのある革。
かっちり自立するから、バーキンの四角いフォルムがきれいに出る。
2000年代前半を最後に、トゴやクレマンスへ。
ヴォーガリバーも同じく、今はもう使われていないなめらかな革。
革の名前を読むだけで、だいたいの年代が分かる。
HARDWARE
ゴールド金具が、当たり前だった頃

クシュベルやアルデンヌの個体を並べると、ほとんどがゴールド金具。
逆にトリヨンクレマンスやエプソンになると、シルバーがぐっと増える。
ゴールドは、革の色を一段深く見せてくれる。
茶系に合わせると、全体が飴色にまとまる。
角やふちから少しずつ色が薄くなるのも、時間だけが作れる風合い。
NOW
今のエルメスにしかない良さ
もちろん、現行モデルならではの魅力もある。
スイフトやエプソンなど、しなやかさや扱いやすさを備えた革に加え、バーキン25をはじめとするコンパクトなサイズの選択肢も広がっている。
革の重厚感を楽しむならヴィンテージ、軽さや使いやすさを重視するなら現行モデルから。
それぞれの時代の魅力を知ることで、自分に合った一品を探す楽しさが広がる。

ルージュトマトみたいな明るい赤も、ヴェールヴェローヌのような青みを含んだ鮮やかなグリーンも、
今のエルメスだからこその色。
どちらにも、その時代にしか出せないものがある。
Old colors. New comfort.
2017年製 バーキン25 ルージュトマト/2016年製 コンスタンス3 18 ヴェールヴェローヌ
FAQ
Q. 廃番の色は、また復活する?
同じ名前で戻ってくることもあるし、戻らないこともある。
復活しても、革が変われば見え方は変わる。同じ色には、なかなかならない。
Q. 昔の革のほうが丈夫?
一概には言えない。クシュベルやアルデンヌは型押しが効いていて傷が目立ちにくい。
ボックスカーフは艶がある分、小さなアタリが見えやすい。傷の出かたが違う。
Q. 年代は、どこを見れば分かる?
いちばん早いのは、革と色の名前。
そのうえで、製造年を示すアルファベットの刻印を探してみて。
囲みが丸なら1990年代半ばまで、四角なら1997年以降。
さて、どっちに惹かれる?
もう作られない色と革か、軽くて選べる今の一点か。
廃番の色は、待っていても戻ってこない。
気になった色があったら、そのときに会いに行ってみて!