流行の先に残る、タイムレスなヴィンテージアイテム

流行の先に残る、タイムレスなヴィンテージアイテム

流行の先には、何が残る? 近年、ファッションの流行はかつてないスピードで移り変わっている。SNSを起点にトレンドは生まれ、消費され、次の瞬間には更新されていく。 けれど、その奔流のなかで、静かに存在感を放ち続けるものがある。名前を聞くだけで、形や質感、佇まいが自然と浮かぶアイコン。それは流行に迎合することなく、時代とともに意味を重ねてきた存在。 単なる「人気商品」ではない。手に取る人の時間や価値観に寄り添いながら、静かに定番へと育ってきた、美意識の結晶。 なぜ、時代を越えて選ばれ続けているのか。流行の先に残る理由を、紐解いていく。 "Timelessとは何か?" 変化しないのではなく、ブレない。 「タイムレス」という言葉は、単に“古くならない”という意味ではない。 流行に合わせて姿を変えるのではなく、変化の只中にありながら、自分たちが守る価値や美意識を、決して手放さない。 だからこそ、時間が経っても色褪せず、むしろ積み重なった時間そのものが価値になる。 #1 HERMÈS ケリー  "所作まで美しく見せる、静かな構築美" 1930年代に誕生し、やがてグレース・ケリーの名を冠することになったケリーバッグ。張りのあるフォルムと端正な構築は、持つ人の姿勢や動きまでも上品に映し出す。 流行を追わずに愛され続ける理由は明快。その形が、すでに完成されているから。長く使われることを前提としたエルメスのものづくりが、静かな説得力を与えている。 ▶︎ケリーのラインナップをチェック #2 CHANEL クラシックフラップ  "自由という美意識を、バッグに託して" 1955年に誕生したクラシックフラップ。女性の両手を自由にするためのショルダーストラップ、キルティングやチェーン、ターンロックという象徴的な要素は、今もほとんど変わらず受け継がれている。 実用性から生まれたその佇まいは、日常に自然と溶け込みながら、装う人に静かなエレガンスを添えてくれる。機能と美しさを同時に叶えるという、シャネルらしい哲学が息づくバッグ。 ▶︎クラシックフラップ23のラインナップをチェック▶︎クラシックフラップ25のラインナップをチェック #3 Cartier トリニティ "想いを重ねる、三つの輪" 1924年に誕生したトリニティ。3色のゴールドがやわらかく絡み合うそのデザインは、愛・友情・忠誠を象徴するとされてきた。 けれど、その意味は決して固定されていない。持つ人の人生や時間によって、解釈は静かに変化していく。削ぎ落とされたフォルムだからこそ、想いを重ねる余白が生まれる。 カルティエが大切にしてきたのは、ジュエリーが人生のそばにあり続けるという思想。 ▶︎トリニティのラインナップをチェック #4 Louis Vuitton...
シャネルの新章の始まり、ボーイシャネル

シャネルの新章の始まり、ボーイシャネル

「ボーイシャネル(Boy Chanel)」って知ってる? 2011年に誕生したボーイシャネルは、シャネルの中でもひときわ“ハンサム”なバッグと言える。ラグジュアリーだけが美しさではないとココ・シャネルはいつだって既存の価値観を覆してきた。ボーイシャネルを知ることは、シャネルというメゾンを、より深く理解することでもある。 #1モードの帝王とシャネルの思想 出典:Harper's BAZAAR Magazie Web ボーイシャネルは「モードの帝王」カール・ラガーフェルドによって2011〜2012年クルーズコレクションで発表されメゾン初となる本格的なマニッシュなバッグだった。 カール・ラガーフェルドが着目したのは、ココ・シャネルの持っていた“男性的で合理的な美意識”。実用性を軸にした構造、無駄のない直線的なフォルム。それらをラグジュアリーとして再構築することで、彼はこれまでにない、新しいシャネルのスタイルを生み出した。 名前の由来は、ココ・シャネルの生涯の恋人であり、彼女の人生と創作活動に多大な影響を与えた存在アーサー・エドワード・“ボーイ”・カペル。 ボーイシャネルのデザインには、ココ・シャネル自身の思想が色濃く投影されている。彼女が掲げた「女性に自由と実用性を」そのメッセージを、最も体現したバッグだと言えるだろう。 ココ・シャネルが発案したジャージー素材の女性用スーツと同じく、性別や先入観に縛られない自由な発想が、このバッグにも息づいている。A pioneer story : シャネルスーツが変えた女性の未来     #2ボーイクラスプの美学 洗練されたゴールドやシルバーの金具が主流だったシャネル。しかし、ボーイシャネルが選んだのは、従来のシャネルとは異なる大ぶりのロック── 通称:ボーイクラスプ。 さらに、用いられる金具は最初からガンメタル(Gunmetal)調。 角が丸くなり、チェーンが肌に馴染み、レザーが少しずつ柔らかくなるその過程さえも、美しさの一部。 ボーイシャネルは、“使い込まれることで完成していく”ことを前提にデザインされたバッグ。そう考えると、その佇まいはより自然に腑に落ちる。   #3アイコンになるまでの、必然 ボーイシャネルは登場と同時に、セレブリティやファッションインフルエンサーの間で瞬く間に支持を集めた。 彼女たちは、カジュアルにもフォーマルにもボーイシャネルを自在に取り入れていた。 その汎用性とモダンな存在感は、装いを引き締めたい人にとって理想的なアクセサリーとなり、ラグジュアリーの世界への入り口としても確かな地位を築いてきた。   #4どんな装いにも、芯を通すバッグ ボーイシャネルは、クラシックフラップほど“語らず”トートバッグほど“生活感”を帯びない。直線的なフォルムが印象的なチェーンバッグはフェミニンなワンピースよりもマニッシュなパンツスタイルと好相性。 ボーイシャネルのサイズ比較 ミニ...
身にまとうだけで完成する冬のアウトフィット:冬の主役アウター7選

身にまとうだけで完成する冬のアウトフィット:冬の主役アウター7選

朝と夜で、空気が少しだけ違う。重ね着はもう重たいけれど、何も羽織らないのは心もとない。そんな“季節の狭間”こそ、アウターのセンスがいちばん表に出る。 今の時期に選ぶ一着は、「寒さ対策」よりも「自分らしさ」のため。だからこそ、今こそ見直したい、アウターという存在。 01|何度でも着たくなる、ベーシックなロングコート 無駄を削ぎ落としたダブルブレスト。端正で中性的、それでいて静かな気品。装飾を控え、シルエットと仕立てで語る高級感は1990年代のムードを感じさせるディテール。このロングコートにも、“流行に左右されない強さ”がはっきりと表れている。 実用性と品格、その両立こそがシャネルの美学。考えすぎなくていいのに、きちんと見える。それが、本当に頼れるベーシック。 ▶︎CHANEL  Wool Double-breasted Long Coat 02|気分を変える、カラーアウターという選択 ベーシックに慣れた今、あえて色を選ぶのも悪くない。 上質なムートンを大胆なカラーで仕上げることで、防寒アイテムに“感情”を宿らせる。素材そのものの力を信じる姿勢は、レザークラフトで有名なロエベならではのもの。 今季注目のスタンドカラーは、立てれば包まれるように暖かく、倒せば一気にモード。今だからこそ出会える、完成度の高い一着。 ▶︎LOEWE  Mouton Stand-collar Coat   03|やっぱり惹かれる、シャネルのツイードジャケット シャネルのツイードは、女性らしさを“形”で語る。 体にフィットするスリムなシルエット、ミニマルなデザインが2000年代後半のムードを感じさせる。チェーンのトリミングとCCマークのボタンがシンプルなデザインのアクセントに。クラシックな素材に、少しだけ強さと主張を加えたデザイン。 ▶︎CHANEL  CC-mark Button Tweed Jacket   04|存在感で魅せる、ファー&ファーライクアウター 視線を集めるのは、やっぱり素材。毛足のあるアウターは、それだけでスタイリングの主役になる。 フロントはミックスのフォックスファー、バックは潔いホワイトのシープファー。ミュウミュウがいつも描いてるどこかアンバランスで、少し甘いけど、強い女性像にまさに合致する最高の一着。▶︎MIU MIU  Fox & Sheep...
今年、本当に人気だったものは何?2025年ベストアイテム

今年、本当に人気だったものは何?2025年ベストアイテム

ファッションのスピードが加速するほど、人は「長く愛せる、本質的な名品」へと戻ってきていきます。2025年のQOOでサポートを集めているのは、時代のムードを言いながら、自分らしさをそっと底上げしてくれるアイテムたち。 #1 Balenciaga City Bag ”Y2Kムードを“今”に呼び戻す、こなれ感の象徴” シティバッグが2025年の本命として返り咲いたのは、Y2K ノスタルジアではなく、大人が使えるストリートムードがファッションの中心に戻ってきたたから。くたっとしたヴィンテージレザー、モーターサイクル金具、肩に吸い付くような軽さ。ラフさとラグジュアリーの絶妙なバランスで、スタイルに“抜け”をつくる最強の一本。 #2 Chloe Paddington"復刻で再熱した、Y2Kアイコンの本命バッグ" 2025年、パディントン人気を押し上げた最大の理由は「復刻」。大ぶりパドロックの存在感、レザーのエイジングが生む深み。 昨年までのミニマル路線から「個性のある名品」へ流れが移る中、圧倒的な“このバッグでしか出せない表情”が再評価を加速させた。 ヴィンテージでも初期モデルは特に人気で、今年はスタイリングの主役として選ばれている。 #3 Vintage Jacket"時代を超えて美しい、アーカイブの力" メゾンが全盛期に作り上げた構築的なシルエット、高密度の素材、手仕事のニュアンス。 今季は “クラシック × コンテンポラリー” のスタイリングが大人気。アーカイブのジャケットが現行服に驚くほどよく馴染む。“今着ても美しいヴィンテージ”その選び抜かれた一点が、2025年のQOOで引き続き圧倒的支持を受けている。 #4 Rolex Datejust"揺るがない王道が、再び日常のスタイルへ デイトジャストが人気を伸ばしているのは、“タイムレスであること”が再び価値として見直されているから。 過度な主張をせずに存在感を放つフルーテッドベゼル、ステンレスの凛とした輝き。 時代が変わってもデザインが揺らがないロレックスだからこそ、中古市場でも選ばれ続けている。 スタイルの軸を整える一本として、2025年のベストセラーのひとつ。    #5 Cartier Tank“「線の美学」がいま再び求められている" タンクの人気復活は、ミニマルの再評価だけでは語れない。ヴィンテージ特有のスリムケース、ローマンインデックスの静かな気品、ジュエラーであるカルティエの精密なプロポーション。 いまのファッションが求めるのは、“ロゴではなく、圧倒的な価値のあるもの”。カルティエのタンクはその答えとして、2025年のQOOで確かな存在感を示している。 #6...
自分へのご褒美に。一生ものヴィンテージアイテム5選

自分へのご褒美に。一生ものヴィンテージアイテム5選

年の瀬が近づくこの季節、ふと「今年も頑張った自分へ、ご褒美を」と思う瞬間が訪れる。そんな特別な一品こそ、流行に左右されず、これから先もずっと寄り添ってくれる"永く愛せる名品"を選びたい。 今回のQOO Spotlightでは、この一年を駆け抜けたあなたへ贈る、時を超えて輝き続けるヴィンテージアイテムを厳選してご紹介。 #1 ブラックバッグ — どんな日も味方になる、永遠の定番 —迷わず手に取れる、ブラックバッグという選択。 どんな装いにも溶け込み、どんなシーンにも凛と寄り添うそれが黒という色の魅力。 慌ただしい朝も、このバッグがあれば迷わない。 主張しすぎず、けれど確かな品格を纏い、 使い込むほどにレザーは艶を帯び、金具は味わい深く輝きを増していく。 「やっぱり黒を選んで正解だった」と、何度でも思える安心感がここにある。 ▶︎ブラックカラーのヴィンテージバッグをチェック #2腕時計 — 時間を超えて寄り添うパートナ —時間を見るたびに、ちょっと嬉しくなる。一本の腕時計が放つ美しさは、手元の印象をさりげなく引き上げてくれる。 スクエア、ラウンド、変形デザイン──形の違いがそのまま個性となり、どれも小さなアートのよう。 繊細なゴールドの装飾やダイヤの輝き、上質なレザーベルトが、手元に確かな品を添える。身につけるだけで、今日という日が少し特別になる。 そんなご褒美にふさわしい一本。▶︎ヴィンテージの腕時計をチェック #3ファインジュエリー ― 一点で視線を奪う、圧倒的なラグジュアリー ―18Kやダイヤモンドなど、上質な素材が持つ確かな輝き。 指に添えた瞬間、品よく華やぎを纏う。 色石の透明感、立体的なデザインがつくる光の表情どの一本も、そこにあるだけで手元を美しく引き立てる主役級。 ファインジュエリーは、ただのアクセサリーではない。 時間とともに価値を深め、今の装いを輝かせながら、未来への投資にもなる。 ▶︎ファインジュエリーをチェック #4ウォレット — 毎日手にするものこそ、上質を選びたい —一日の中で何度も手に触れるウォレットこそ、自分にふさわしい上質さを選びたい。 手にした瞬間に伝わるレザーの質感、使うほど手に馴染む深い風合いが、毎日の所作を美しく整える。黒やブラウンなどの定番カラーはもちろん、雰囲気を引き締める深い色合いや、気分を高める鮮やかなカラーも魅力的。触れるたびに心が整い、日常に小さな贅沢を添えてくれる。 そんな一品を、あなたの手に。...
愛を閉じ込めるジュエリー、カルティエ「ラブブレス」

愛を閉じ込めるジュエリー、カルティエ「ラブブレス」

街が輝きに包まれる季節、ふと手元のジュエリーに目を落とすと、そこに“永遠”の意味が宿っていることに気づく。カルティエ「ラブブレス」は、その名の通り“愛”を語るために生まれたジュエリー。 1969年、ニューヨーク。ファッションが「自由」と「個性」を語り始め、「個の愛」に共感が深まった時代のムードと共にジュエリーの意味を根底から変えた一本のブレスレットが誕生した。 #1購入はカップル限定だったという噂も──革新的だったユニセックスジュエリーの始まり 愛をかたちにしたこのブレスレットは、当時としては革新的だった“ユニセックスジュエリー”の始まりでもある。 1960〜70年代ごろ、ジュエリーはまだ「女性のためのもの」という感覚が強かった。ーカップルで着用し、同じデザインを男女で共有するーそんなコンセプトを打ち出し、ジェンダーを超えたジュエリーの使用を広めたのが、デザイナーのアルド・チプロと、このラブブレス。 贈るだけではなく、共に着け、共に時を刻むためのジュエリー。華やかさよりも“約束”を意味するそのデザインが、これまでのどんなジュエリーよりも深く、愛の本質を語っている。 #2「ラブブレス」が変えた、ジュエリーと愛のかたち 「着け外しがすぐにできること」が当たり前だったこれまでのジュエリー。しかしアルド・チプロは“愛をロックする”という発想から、着脱には付属ドライバーが必要で、パートナーにつけてもらう前提という前代未聞の仕組みをデザイン。 パートナーがネジを締めるという、ひとつの動作。それは、ふたりだけの儀式。贈られるジュエリーから共有するジュエリーへ。 "愛は持ち物ではなく、関係そのもの"という新しいメッセージを世界に示したこのミニマルなブレスレットは70年代のニューヨークに吹いた“個の愛”という風を象徴した。 #3インダストリアルデザインの融合 曲線的で華やかな宝石を主役にしたデザインが主流だった当時のハイジュエリー。そんな時代に、まったく異なるアプローチを示したアルド・チプロ。 ネジを模したモチーフミニマルで構築的な佇まいの、フラットなバンド型彼はあえて工業製品を思わせるエレメントを取り入れ、ジュエリーの概念そのものを更新。 それは、当時のジュエリー界では異例といえる“インダストリアルデザイン”の美学。 ファッションの自由を象徴する1970年代の空気と共鳴したラブブレスは、ミニマルでユニセックスに使えるアイコンジュエリーとして定着。後の “ジェンダーレスジュエリー” の潮流を先取りした存在として語られている。   #4現代に続く“永遠のアイコン”としての存在 半世紀を経た今も、ラブブレスのデザインはほとんど変わっていない。完成されたその形が、時代を超えて人の心に響き続けている証。 ゴールドの輝きも、ネジのフォルムも、“愛”という言葉の意味が広がった現代では、より自由な象徴となった。 恋人のためだけでなく、大切な友人へ、家族へ、あるいは“自分自身への贈り物”として。それぞれの人生に寄り添うための一本として選ばれている。 誰かとの絆を確かめるためにも、自分の物語を静かに記録するためにも、ラブブレスは今も変わらず、手元で永遠を語り続けている。 ーーー 半世紀を超えた今も、人を惹きつけ続けるラブブレス。恋人の証としても、自分自身への贈り物としても、その一本は手首に触れた瞬間から“個の物語”を語り始める。 ミニマルで揺るがない輝きは、これからの時間さえ静かに刻んでいく。 冬の光を受けて静かに輝くその輪の中に、あなたはどんな未来を託すのだろう。   ▶︎カルティエ「ラブシリーズ」をチェック
シャネルが世界を変えた7つの瞬間 : 小さな帽子店から始まったストーリー

シャネルが世界を変えた7つの瞬間 : 小さな帽子店から始まったストーリー

シャネルのショーが終わるたび、世界は次の季節を知る。その名は、もはやブランドを超え、時代を象徴する存在。 常に新しい女性像を描き、ファッションの意味を塗り替えてきた時代を象徴するアイコニックなブランド。帽子から香り、ツイード、バッグへ。シャネルの歩みは、女性の生き方とともに進化してきた物語でもある。 ここから、その革新の軌跡をたどっていこう。     1910年、ひとりの女性によって始まったパリのカンボン通りの小さな帽子店は、やがて“自由”を纏うスタイルを生み出し、ファッションの意味そのものを変えていった。それがガブリエル・ココ・シャネルが手がけた「CHANEL(シャネル)」の始まり。   1|革命のはじまり:帽子から生まれたエレガンス 当時の女性たちは、重たいコルセットと豪奢な装飾に縛られていた。ココ・シャネルはそこに“動きやすさ”と“シンプルの美”を持ち込み、軽やかな帽子を通して“呼吸するエレガンス”を提案した。女性が“自分のために装う”ことを初めて肯定したその瞬間、ファッションは解放という名の革命を迎えた。   2|ジャージーと“リトル・ブラック・ドレス”が起こした服の革命 それまで下着に使われることの多かったジャージー素材を、シャネルはドレスへと昇華させた。それは、窮屈さからの解放であり、日常の中の優雅さの象徴。 そして1926年、シャネルの代表作の一つ、「リトル・ブラック・ドレス」が誕生する。“喪の色”だった黒を、シャネルは“モダン”の色へと変えた。控えめでありながらも凛としたその存在感は、それはまさに、ココ・シャネルという女性そのもの。   3|香りに込めた哲学 ― CHANEL N°5 1921年、世界を変える香水、「シャネル N°5」が誕生。無数の花々をブレンドしながらも、特定の香りを主張しないそれは「女性そのものを香らせたい」という哲学の表現であった。無駄を削ぎ落とした四角いボトルと幾何学的なラベル。香りを“抽象的な芸術”にまで昇華した革命そのもの。時代を超えて愛され続けているシャネルのアイコニックなアイテム。   4|ツイードジャケットが象る“動くエレガンス” 1954年、戦後のパリで彼女は再び帰ってきた。復帰コレクションで発表されたツイードスーツは、軽やかで、構築的で、女性の身体に寄り添う“自由の制服”。ボタンの位置、チェーンの重み、すべてが緻密に計算されていた。それは、女性が“自信を着る”ためのデザイン。今なお受け継がれるそのフォルムは、エレガンスの代名詞となった。 現代でも続くこのフォルムは、女性が“自信を着る”という新しい概念を生み出した。 (Chanel 2026 Spring Ready-to-Wear Collection)   5|2.55バッグと“自立する女性”の象徴 1955年2月に誕生した「2.55」バッグ。ショルダーストラップが女性の両手を自由にし、社会進出の波とともに“自立の象徴”として時代を映した。マトラッセのキルティング、チェーンの艶、そして中に隠された“秘密のポケット”――すべてが物語を語るデザイン。   6|そして、ラガーフェルドが繋いだ革新の系譜 1983年、カール・ラガーフェルドがクリエイティブ・ディレクターに就任。彼はシャネルのDNAを守りながらも、ポップカルチャーとストリートの風を吹き込んだ。ツイードを再解釈し、パールにロゴを添え、バッグをアートに昇華。それは、伝統を壊すのではなく“時代と会話させる”という革新。シャネルの美学は、こうして再び動き出した。...
「アートをまとう」秋冬を彩るヴィンテージスカーフの魅力

「アートをまとう」秋冬を彩るヴィンテージスカーフの魅力

ブランドのアーカイヴとして語り継がれる、ヴィンテージスカーフ。そこにはメゾンごとの哲学や美意識が息づき、まるで“身にまとうアートピース”のように存在感を放つ。この秋冬、装いにひとさじのドラマを添えるなら、スカーフほど頼もしいアイテムはない。今回は、各ブランドの名作スカーフと、今季取り入れたいスタイリングアイデアをご紹介。     #1 Chanel”エレガンスを描く、象徴のアート” 1990年代のシャネルスカーフには、チェーン、カメリア、ココマークなど、メゾンを象徴するモチーフが散りばめられている。大胆なプリントでありながら、どこかクラシックな佇まい。その存在は、まさにシャネルの“永遠の女性像”を映すアーカイヴ。   #2 Celine ”控えめに輝く、構築の美” セリーヌのヴィンテージスカーフは、整った構図と洗練された色使いが印象的。ロープやメダリオンのモチーフが織りなす規律あるデザインは、静けさの中に確かな存在感を放つ。鮮やかなレッドとブルーのコントラストが、どんな装いにも品のあるアクセントを添える。クラシックを知的に纏う。その美学こそ、セリーヌが時代を超えて愛される理由。 #3  Hermes ”語られる物語、永遠のカレ” エルメスのスカーフは、フランス語で“正方形”を意味する〈カレ〉と呼ばれる。 そのデザインは「物語をまとう」と称されるほど豊かで、馬術や旅、フランス文化をテーマにしたアートワークが多い。まるで絵画のような構図に、デザイナーのサインが刻まれた一枚も少なくない。フィリップ・ルドゥーをはじめ、数多くのアーティストが生み出した作品群は、まさにメゾンの美学そのもの。 (Designed by Philippe Ledoux : 海と騎兵隊) シーズンごとに完結するデザインは再販されることがほとんどなく、その希少性こそがヴィンテージとしての価値を高めている。     "Styling Tips"  スカーフで秋冬コーデを格上げ 1枚で個性と品格をプラスしてくれる、秋冬に欠かせない存在。ここからは、そんなスカーフのサイズ別アレンジとコーディネートをご紹介。   Style 1ホワイトシャツに秋色を、ビスチェ風アレンジ スカーフを胸の前で片結びにし、回転させてトップスのように。物足りないコーデに“ひとさじのドラマ”を足すならこのスタイル。 ▶︎Emblem Design Scarf 90×90(Hermes)...
今季、“ゴールドが呼吸する” 4ブランドが導く秋のジュエリースタイリング

今季、“ゴールドが呼吸する” 4ブランドが導く秋のジュエリースタイリング

秋の空気が深まり、光がやわらかく肌に溶ける季節。主張を抑えた装いの中で、静かに存在感を放つのは“ゴールド”の輝き。トレンドのボールドなシルエットを中心に、レイヤードで個性を際立たせるジュエリーが今、再び注目を集めている。Cartier、Bvlgari、Van Cleef & Arpels、Tiffany4つのジュエリーメゾンが描く秋のスタイルバランスを紐解いていく。 #1 Cartier  "手元で語る強さとエレガンス" カルティエのジュエリーが放つのは、洗練と力強さの同居。滑らかなゴールドの質感が肌と一体化し、知的な印象を引き立てる。ボールドなリングやブレスレットを重ねることで、装い全体に構築的なリズムが生まれる。さりげなくウォッチを添えることで、自信を静かに語るスタイルを完成させる。 Detail: Bracelet & Watches(上から下)▶︎K18YG/Diamond Love Bracelet (Cartier)▶︎Maillon Panthère Bracelet (Cartier)▶︎Mini Baignoire Watch (Cartier) Detail: Rings(左から右)▶︎K18YG/Diamond Mini Love Ring (Cartier)▶︎K18PG/YG/WG Trinity Must Essence Ring (Cartier) Detail: Earrings▶︎K18PG/YG/WG Trinity...